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菩提の世界:醍醐寺芸術珍宝展-中国各メディアの反響-

※腾讯佛学(中国語)に掲載された記事の日本語訳です。
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密教の至宝中国の地に~“醍醐の一滴”が中国に合流~
日本の醍醐寺の文化財が初めて中国に渡り上海博物館で展示

写真は翻訳もとのページをご覧ください
開幕式での醍醐寺座主仲田順和大僧正猊下の挨拶
(写真提供:Webサイト“テンセント佛学”)

文:妙愍


2016年5月10日に、上海博物館、陝西の歴史博物館、日本の真言宗醍醐派総本山醍醐寺、日本の独立行政法人国立文化財機構らが共同主催して“菩提の世界:醍醐寺芸術珍宝展”が上海博物館で正式に開幕しました。5月11日から7月10日までの2か月間、上海博物館の第一展覧室で開催されます。その後、陝西の歴史博物館に移り、引き続き展示を行います。醍醐寺が珍蔵していた密教文化の宝物は故郷を離れて千年ぶりに初めて中国に渡り、中国の唐・宋時期の文化の様子を再現し、そして真言密教の“精妙(醍醐)な一滴”を持ち帰ったのです。

真言宗十八大総本山の一つである醍醐寺は、京都市の東南部の醍醐山に位置し、西暦874年に、日本真言宗の開祖空海大師の孫弟子にあたる聖宝理源大師が創建しました。真言宗密教を伝承する主要な寺院であり、真言宗醍醐派の“三宝院流”と修験道当山派の“恵印法流”二大法流を伝承してきました。平安時代には醍醐天皇の崇敬により、天皇の御願寺とされました。その後絶え間ない拡張を経て現在の規模となっています。日本の寺院には元々、文物を保管する伝統がありますが、とくに醍醐寺は“一紙といえども流出させない”と守り続けてきました。寺内には15万近くの宝物が収蔵され、その中の69419点は国宝に、6522点は重要文化財に指定されています。

今回の展示は、ドイツ(2008年)に続いて二回目の醍醐寺文化財の国外展示となります。展示は「醍醐の源流」「醍醐の事相」「風雅な醍醐」三つコーナーに分かれています。90点の展示品中には13点の日本の国宝、31点の重要文化財が含まれ、訪れる人々の前に醍醐寺の歴史と真言密教の文化芸術の世界を開示しています。

日本の醍醐寺の文化財が初めて中国へ渡って上海博物館で展示されます

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今回展示されている醍醐寺の文化財の一つ
(写真提供:Webサイト“テンセント佛学”)

醍醐寺第103世座主、大本山三宝院第52代門跡、真言宗醍醐派第11代管長である仲田順和大僧正猊下が上海の開幕式に臨席し、厳かに設えた大壇の前で、随行僧侶達と共に特別法要をとりおこないました。千二百年前に日本へ伝来して民の生活を育んできた、醍醐寺真言宗の信仰が故郷に戻り、中国の大地を潤すことになったのです。その中でも歴史的意義を感じるのは、随行する僧侶達の一人が、中国出身の僧侶智広阿闍梨であることです。彼は2004年に日本へ求法の為に渡り、醍醐寺の座主仲田順和大僧正猊下の教えをいただき、醍醐寺三宝院流の第64世伝法灌頂を受けて阿闍梨位を与えられ、中僧正の僧階を授かりました。今回、仲田順和座主が智広阿闍梨を中国に帯同して、唐・宋時期の文化財を故郷で展示するとともに中国のために祈願祈祷する場に接すると、恵果阿闍梨が弘法大師空海に密教の正統的教えを授けたその時の情景が想い描かれます。

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醍醐寺の僧侶達が開幕の祈願法会に参列する
(写真提供:Webサイト“テンセント佛学”)

開幕式の前日の午後、仲田順和大僧正猊下は上海博物館の学術報告庁で「醍醐寺の歴史」について一時間余りの特別講演を行いました。講演の中で猊下は深い愛情を込めて次のように語りました。
「真言密教は中国から日本に伝わって来ました、それによって、日本は安泰となり民は平穏と祝福を得ることができたと言えるでしょう。千年の間、醍醐寺はどんな災難の時も、所蔵した文化財を守り続け、十何万点の珍物を一紙も失うことはありませんでした。今回、文化財を中国へ持ち帰って展示できた事は、感謝の至りであり、多く人々が醍醐寺の密教伝承と文化芸術、さらに唐時期の真言密教について知ることで、世界の中で唐密教の歴史の流れが長く続いたことを中国の広範な人々に理解いただけると思います。」
上海博物館の楊志剛館長は、「仲田順和座主は83歳の高齢にも関わらず苦労をいとわず、大海を跨ぎ超え、上海での展覧会を実現し、中日両国の文化交流のために貢献された。」と高く賞賛しました。

今回の展覧会は多く人々の熱い歓迎を受け、展覧会がオープンする前から、上海博物館は大勢の人出で湧きました。5月9日午後に開催された「醍醐寺の歴史」の講演は満席となり、聴衆達は一心にメモをとり、携帯でスライドの写真を撮るなど、とても興味津々といった雰囲気でした。5月10日開幕式は、よりいっそうの盛況で、訪れる方々は全国にとどまらず、世界各地の文化芸術の愛好者が集まりました。特に若い世代が多く、展覧会に対する深い興味と情熱をもって、密教に関する知識を智広阿闍梨に次々と質問していました。その熱意に応えて、5月12日に智広阿闍梨が直接、参観者を観覧案内し、「菩提の世界:智広阿闍梨が詳説する醍醐寺の“宝”」と題し、特別講座を行いました。

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密教の愛好者が智広阿闍梨に熱心に質問する
(写真提供:Webサイト“テンセント佛学”)