前のページ > 春期特別展
平成27年(2015)、醍醐寺所蔵の重要文化財「聖観音菩薩立像」が、近年の調査と研究で尊名と伝来が判明し、あらたに「虚空蔵菩薩立像」として国宝指定されました。この像は、正しい尊名や伝来は不明ながら、明治42年(1909)に重要文化財として指定され、以後長らく、醍醐寺の聖観音像として知られてきたものです。
近年の調査で、当寺に伝来する江戸時代の版木の中から、この聖観音菩薩立像によく似た姿が刻まれているものが発見されました。版木には「虚空蔵菩薩」、「醍醐」、「菩提寺」等の文字も刻まれ、史料も含め検証したところ、今日「醍醐寺の聖観音像」として知られる像が、江戸時代には「菩提寺の虚空蔵菩薩」であったことが分かり、その伝来と尊名が明らかになりました。
本特別展では、国宝指定を記念して虚空蔵菩薩立像を展示するとともに、伝来を明らかにするきっかけとなった版木や史料を公開し、虚空蔵菩薩立像のあらたな魅力をお伝えします。
同時に、春の恒例、豊臣秀吉が催した「醍醐の花見」に関する展示を行います。蒔絵で桐紋をあらわした花見道具の品々や、秀吉から賜った金天目茶碗など、華やかな展示をお楽しみください。